MISSI'S BLOG

のんびりやってます。

「半神」

「半神」を読んだ時の感動は今も昔も変わらない。「半神」がプチフラワーに発表された頃、私は少女漫画では萩尾先生くらいしか興味がなくなってしまって、それは仕方が無いんだけど、雑誌を買うのを止めようかどうしようかと迷っていた頃だった。それまでは萩尾先生の名前があったら、一応買ってた。でも、先生の作品とまだまだ子供気分な自分との乖離を自覚してて、以前のような熱気も無くなって、絶対的な存在から少し距離を置いてみてもいいかなと思い始めた頃だった。
この作品に出会い、私はこれは萩尾先生の作品の頂点だなって思った。いや、他にもベストな作品たくさんあるが、短編ではベストにしてもいい。ベストといいつつ、好きな短編いっぱいあるけど。ベスト決められない(笑) 更にまだまだ現役なので、これからどんどんベストが出ないとはいいきれない。
ま、とりあえず、現時点暫定ベストなら、後は心置きなくのんびり萩尾先生の作品を単行本で追いかけていけばいいかなと思い、すごく心満ち足りて少女雑誌から遂に卒業したのだったよ。
…後で後悔するけどね (^^;)

さて、その「半神」とは、双子の少女がいて、妹は美しく天使のよう。だが片方の姉の方は醜い。ふたりは腰の辺りが癒着している為離れられないという話だ。
その姉の方の醜いが賢い少女が私達に訴えてくる。「自分たち」の死か、「妹」の死か。
そして、彼女は、双子の妹と手術によって引き離され、命と自由を、そして彼女の妹にあった美貌も今は彼女のもとにある。
でも、彼女は、鏡に映った姿を見て、ひとり泣くのだ。

読んでいて、亡くなった妹の姿に涙があふれるのだが、あとで自分の姿を見て泣く姉に涙が堪えきれなかった。
どうしてこんなに泣けるのか、私だけだろうか、どうしてこんなに苦しいのか。
あれは彼女の姿を借りた自分の姿なのか。生きていく中で失っていくのは何なのか考えてしまう。
そして今も、鏡に映った少女の姿を思い出してどうしようもなく哀しくなる私がいる。

半神 (小学館文庫)

半神 (小学館文庫)